中国の覇権主義と宗教弾圧の現状に警鐘
国際宗教自由連合(ICRF)日本委員会は10月28日、東京都内の会場で「チベット・ウィグル・モンゴルに宗教の自由を!〜信教の自由と人権シンポジウム〜」(宗教新聞社共催、ウィグル文化センター協力)を開催しました。
シンポジウムの第1部では、ウィグル、モンゴル、チベットの信教の自由の侵害や人権蹂躙の現状に詳しい3人の専門家が講演しました。
はじめに、ウィグル文化センターのイリハム・マハムティ理事長が「宗教弾圧と消えていく信仰」と題してウィグル問題について語りました。
中国の憲法には「公民の宗教信仰の自由」が明記されているにも関わらず、実際は多くのイスラム教徒が住むウィグルでは宗教施設が破壊され、公の場で祈ることが禁止され、宗教を口にすることができないといいます。イリハム氏は、ウィグル民族の文化と信仰が破壊されている現状について報告しました。
桐蔭横浜大学非常勤講師のボヤント氏は「現代南モンゴルの宗教に関する報告」と題して講演。南モンゴル(内モンゴル自治区)に中国政府が設立した「内モンゴル仏教協会」を通じて、モンゴル人に対する思想改造や世俗化のための施策が進められてきた実情が、資料に基づいて紹介されました。
拓殖大学国際日本文化研究所客員教授のペマ・ギャルポ氏は、戦後のチベットで中国共産党が行った寺院破壊やラマ僧殺害について語った。「中国共産党による宗教弾圧と民族浄化政策」のテーマで講演したペマ氏は中国による宗教迫害の事例を訴えた上で、「宗教は人間と動物を区別するバロメーターであり、モラルの根幹をなすもの。人間らしく思いやりをもって平和に暮らすためにも信教の自由を守ることが重要だ」と強調しました。
3人の講演を踏まえて行われた第2部では、アジア仏教クラブ座長の酒生文弥氏がモデレーターとなってパネルディスカッションの時間が持たれました。講師らは中国の覇権主義と宗教迫害の現状は日本への警鐘だ」と口を揃えるとともに、「他国の現状に無関心でいることは日本が自らに無関心であるのと同じだ」と訴えかけました。